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FinalNight
The End Of
Sweet Dream

「……ひとつの単調な物音が響いている……」

「……目を開ける……暗闇。
 ……身体が動かない……」

「ひざを抱え、背を丸め
 生まれてくる新生児の姿勢。
 誕生の光におびえ小さく震える」

「俺は何故震えてる……?
 ……何を恐れてる?」

「振動に吐き気を覚える。
 LIMOUSINEのトランク……
 ……小さな積載物……俺……」

「音が変わる……きゅうくつな床の傾き……
 道の終わり……大きな振動……」

「……地下へ……」

「堕ちていく…………
 ……光の届かない深層へ」

「……意識が遠のく……」

「目覚めたくない……
 ……このまま眠りにつきたい」

「いつまでも夢の中をさまよい続けてたい」

「……最後に見た夢……」

「……水の夢の終わり……」

「………音が消えた。
 鼓動の音だけが響いてる」

「俺はたしかに生きてる」

「だが…………」

「ここはどこだ……?
 どうしてこんなにも静かなんだ。
 なにも感じねえ」

「意識が薄れてく……
 また闇の中に消えていく」

  【謎の装置。
   カプセル型水槽。
   その中から出てくる赤碕】

赤碕
「……ここは……?」
「俺の見た映像……
 はっきりとしてた……」
「夢の中なんかじゃねえ」

  【マジックミラー越しに赤碕に語りかける
   シュナイダーとウォン・リー】

シュナイダー
「我々の声が聞こえるかな?」
「『君』の前にある鏡の壁は
 フィルムを映写できるように
 仕掛けがほどこしてある」
「『君』の見た映像は……
 『君』が誕生したときのものだ」

  【声の主を捜す赤碕】

ウォン・リー
「ぶざまなダンスはやめたらどうかね?」
「君が知るべき話は
 まだ終わったわけではない」
赤碕
「そこにいるのか……?
 俺のこと……あざ笑ってやがるのか?」

シュナイダー
「先程の映像で『君』が入っていた水槽の
 製品番号は、SLPS-02038」       ※「R」の製品番号と同じ。芸が細かい…
「当時は実験段階だった
 D-Sleepシステム……」
「一般に、コールドスリープと言われる
 種の保存システムに近いものと
 理解してもらってかまわない」
「WON-TECのD-Sleepシステムは
 常温に近い特殊な溶液の中でヒトを保存する。
 母胎のなかにいる感覚に近いものだ」
「ヒトはその中で生体活動を停止し
 細胞を拡散状態にすることにより……」
「肉体的な成長を限りなく長い時間
 ペンディングすることができる」
赤碕
「……やめてくれ……」
「それ以上……
 俺は聞きたくない……」
シュナイダー
「理論など、どうでもいいと?
 ならば、結果から話そう」
「『君』の見た映像の中
 D-Sleepカプセルに
 安らかに眠る男……」
「『彼』が、『君』の身体の
 本当の所有者だ」
赤碕
「冗談じゃねえ…………
 俺は赤碕翔」
「他の誰でもあるわけねえ!」
シュナイダー
「なるほど……生意気に
 自我を語るようだな」
「そうだ……確かに
 『君』の名は……
 ……『赤碕翔』……」

シュナイダー
「D-Sleep中の肉体……
 『彼』の意識の集合体の上層部位に
 我々が創りだした疑似意識」
「『彼』の肉体に一時的に宿り
 やがて元の『彼』の意識に
 違和感なく取り込まれる……」

NameEntrySystem
LoginPassword:■■■■ 

シュナイダー
「『君』が見ているのは
 10年前の我々の映像だ」
「D-Sleepの最中、『彼』の意識は
 重度な催眠状態にある」
「催眠状態にある意識に
 虚偽の事項をインプットすることは
 簡単なことだ」
「意識がそのヒトを構成してると
 仮定するならば…………」
「D-Sleep中にヒトを
 作り替えることが可能になる」


 NAME:『赤碕 翔』
 SIGN:『S.AKASAKI』
  AGE:18
  SEX:Male

.....EXIT 

シュナイダー
「『君』の誕生の意味を求めるならば
 なにより、貴重な『Diablo』の
 抗体情報を守りたかった……」
「我々の『最後の希望』である
 『彼』を守りたかった」
「奪われた10年を被害と考え
 自ら命を絶つ……あるいは……
 理解できずに正常な状態に戻れない
 無惨な失敗事例となることへの予防策」
「一時的に『君』の意識を創りだすことで
 D-Sleepからの目覚めの時
 10年の時の経過の違和感をなくす」
「『君』の役目のひとつは
 『彼』の経験との融合だった」

シュナイダー
「それに……もうひとつ……
 『彼』には特殊事情があった」
「『彼』は……たくさんの
 『Driver』のなかの一人」
「なにひとつ素性のわからぬ……
 危険人物だ」
「『君』の意識で抑えておく必要があった」
「D-Project凍結の夜の『彼』の行動には
 いまだ不可解な点が残されている」
「外因的なミスの確率は低いに
 こしたことはない」
「もっとも、『君』が正常意識であるという
 保証もないのだが……」

ウォン・リー
「ご苦労だった……
 『君』の役目はここでおしまいだ」

シュナイダー
「……『君』には消えてもらう……」
「……いま……ここで……」

「…………俺は…………」

『…………オレは…………』

「……『彼』の叫びが
 響きわたった……」

「この部屋に……
 俺の消えゆく意識に……」

「それが……俺の聞いた
 【声】の最後だった……」

→GS画面へ

「……感じるのは、重力だけだ……」

「……足が地についてる……
 俺の意志とは無関係に進んでく」

「俺の意志…………?
 いまは、そんなもんが
 あるかもわからねえ」

「アイツが気を許すと
 ……俺が戻る……」

「わずかな時間…………
 それすらもなくなっちまうのか?」

「これで何度目か……
 アイツの命じるまま……
 俺は部屋の扉を開けた」

「2番目の部屋の光景は最悪だった」

「石川……楠木……
 WON-TECのDriverども……
 真っ黒な血を流して倒れてた」

「はみだした脳味噌……
 鉄パイプのような凶器で
 殴り殺された跡……」

「胃の中のものがこみあげる……
 吐き出そうにも……
 俺の意志は奪われてる……」

「…………俺が殺ったのか…………」

「……涙もうめきの叫びも……
 ……出せやしねんだ…………」※しねえ、の間違い?

「次は…………
 どこへ向かってる……?」

「……仲間……?」

「この先に…………?」

  【地下牢へ】

(名も無き走り屋 光を奪われた10年前のDriver)
「……お…おお………」
「…………お…まえ……
 真の…最速の男……」
「……オレ…たちよりも……
 お…まえ……速かった……」
「おま……えの…走り……
 オレたちに…
 …思い出させた……」
「ただ……速く……
 走り…たかった……」
「……はじめて…………
 クルマ……乗ったとき…」
「………ここ……
 閉じられた部屋で…
 10年間…………」
「思い…出すのは……
 ……楽し……かった……
 クルマ……の……思い出……」

  【その言葉を最後に息絶える】

「……ひでえ……」

「……ひどすぎる……」

「閉じられた部屋で10年間……
 思い出すのは……
 楽しかったクルマの思い出……」

「……そう言い残して事切れた
 DiabloのDriver……」

「あの男は……
 ……俺だった……」

「……そうさ……」

「もしも……
 巡り合わせが悪かったなら……」

「あそこに閉じ込められたのは
 俺だったかもしれねえんだ……」

「……許せねえ……」

「……この思い……」

「……激しい怒り……
 俺の中のこの思いは……」

「俺の中のアイツの
 ものなんかじゃねえ」

「正真正銘、俺自身の
 ものなんだ……」




  【緊急のサイレンが響きわたる】

「EMERGENCY!!」

「EMERGENCY!!」

「非常警報発令……」

「TOWER崩壊まで残り……5Minutes!!」


辻本
「赤碕!! 目を覚ませ!!
 やばいゼ!! 逃げるんだ!!」
由佳
「ねえ赤碕!
 起きて! 起きてったら!!」

  【気絶していた赤碕を
   辻本と由佳が助け起こす】

赤碕
「……辻本……
 由佳……?」
「……俺は……」

辻本
「気が付いたか!
 赤碕!!」
由佳
「……よかった…」

赤碕
「どうしたんだ……
 俺は……?」

辻本
「どうした……?」
「おまえがオレたちを
 助けたんだろ!?」

赤碕
「助けた……?」
「……俺が……?」

辻本
「謙遜してる場合じゃない」
「扉のロックが外れたと思ったら
 この警報だゼ!!」
「ここに来たら
 おまえが倒れてた……」

赤碕
「……ここは……?」

辻本
「地下駐車場らしいな……
 俺たちの車は
 いまのところ無事だ…」
「さっきの警報、聞こえただろ?
 Tower崩壊まで、あと5分だ!!」

赤碕
「……2分たってる……
 残り3分…………」

辻本
「逃げるしかない……
 そうだろ?」

「なにがどうなってるのか……
 ……わからなかった……」

「たしかなのは……」

「『俺』が……
 完全には消えてないこと……」

「それだけだった……」

「崩壊し始めた虚構の塔
 BayLagoonTower……」

「ここはいったい
 地下何階なのか……」

「わからねえ……」

「……だが、今はただ
 突っ走るしかねえ……」

  a)GAME SAVE
  b)MACHINE COMPLETE
  c)……BLT脱出

<a)を選択>
→GS画面へ
→へ

<b)を選択>
→マシンコンプリート画面へ
→へ

<c)を選択>
赤碕
「……さあ、脱出だ!!」


Bay-Lagoon Towerから
脱出せよ!!
         HIGH SPEED DRIVING RPG

  【BLT地下3F】

Bay-Lagoon Towerから
脱出せよ!!
         HIGH SPEED DRIVING RPG

  【BLT地下2F】

 【ポエムシステム発動】
赤碕
「わからないことがある……」
「なぜ、俺は自分を取り戻した……?」
「それにもうひとつ……
 藤沢先輩はどこだ……………?」

『……オマエ、速い……』

『……手を貸してもらう……』

『オマエも……見たいはずだ……』

『……オレの……結末……』

辻本
「どうした!! 赤碕!!
 遅れてるぞ!!」

赤碕
「俺にはやり残したことがある……」
「気にせず……先に行け!!
 BayLagoonTowerから離れろ!!」

辻本
「ちくしょう!!
 かっこつけんな!
 時間がないゼ……話は後だ!」
 【ポエムシステム終了】

Bay-Lagoon Towerから
脱出せよ!!
         HIGH SPEED DRIVING RPG

  【BLT地下1F】

 【ポエムシステム発動】
由佳
「赤碕……お願いっ!!
 いっしょに帰ろっ!!」

赤碕
「辻本!!
 由佳を送り届けてくれ!
 藤沢先輩は、俺が探し出す!」
「……安心しろ……
 俺だって……
 むざむざ死にはしない」

「そうさ……
 簡単に消えやしないさ」

辻本
「……わかった…………
 おまえのこと信じる!
 信じるから先に行くゼ!」

由佳
「……赤碕、約束してっ!!
 ……必ず戻るって……」

赤碕
「……約束か…………」

由佳
「………わたし、どうして
 まちがえちゃったんだろ……。
 赤碕の助手席、乗ればよかったねっ」

赤碕
「由佳!! ……辻本!!
 俺は……約束する」
「……すべてが済んだら……
 俺は……必ず戻る……」
「おまえたちと走る!!
 必ずだ……!!」

『…………約束は…………』

『裏切られるために……
 ……あるもんだ……』
 【ポエムシステム終了】

→GS画面へ


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